前途多難な旅立ち~外房線(その2)
2015/02/24
2006年1月6日発行 《第3号》
海沿いなのに山間の駅たち
「安房鴨川駅」から外房線を戻り、次に「鵜原駅」に下車しました。
島式1面2線のホームは山間に位置していて、とても近くに海があるとは思えない風景。
跨線橋を渡り駅舎を見ると、動物園の入園口のような味気ないたたずまい。
でもちゃんと駅員がおられます。
天気が良ければ気持ちよさそうな駅、かもしれません。
あいにく雨は弱々しく降り続けています。

また下り列車に乗って今度は「安房天津駅」に下車。
相対式2面2線のホームで、ここも山が目立ちます。
下車する人は多く、改札手前で列を作っているので私は最後尾につけます。
でも私が通る手前でピシャッと窓が閉じられました。
おいおい、日付を確認しなくていいのか?と思ったけど、ま、いいか。
駅舎は立派ですが、古いのか新しいのか・・・。
待合室は狭く、列車を待っているのかバスを待っているのか
分らない人たちでひしめき合ってました。
次の列車まで(たしか)40分ほど時間があり、もてあまします。
今現在の私なら駅舎の隅々まで穴が開くほど眺めまくるので、40分なんて実にあっという間なんですけど、
この当時の私はまだ駅舎自体に興味がなかったので、とにかく待ち時間が長く感じられました。
そういうわけで、私は海を見に行くことにしました。
5分ほど歩くと民家の間に海が見えたので、私有地かどうか分りかねたけれどそのまま細い道を通り、砂浜に出ました。
風が細かい雨と一緒になって私に叩きつけ、空と波がお互い呼応しながらゴウンゴウンと不気味な低音を響かせます。
気分は、沈んでいきます・・・・・・

次は「上総興津駅」に下車。
ホームは2面3線あるように見えましたが、その内一番外側の線路は錆びつき、草に埋もれていました。
駅舎は木造で、どこから見ても古い。昭和初期頃のものでしょうか。
さすがの私も駅舎の良さに気が付いたのか、意味もなく庇の柱を撮った写真が残されていました。
その過去の私の視点を見直すと、たった今気が付いたことがありました。
私は庇が好きなのです。(!?)
ホーム上家ってありますよね。ホームにポツンと佇む屋根です。
あれを非常に好んでいる、というのは自覚していたんですが、実は庇も好きだったんです。
駅舎の屋根は「超好き」とまでは行かないけれど、駅舎に付いている庇や上家に異常に反応するんですね。
変ですね。ええ、変ですよ。

さて、次は「行川アイランド駅」に下車しました。
1面1線のホームに木造の待合室が一つ。
なかなか淋しげな無人駅です。
「ご案内」の看板には「行川アイランド」200M 「おせんころがし」200M とあります。
「温泉転がし?」
そうか、温泉があるのか、と大きな勘違い。
気が付いたのは2年も後のことですが(2年ですよ!)
正確には「お仙 ころがし」であります。
温泉、ではありません。
断崖絶壁の景勝地だそうです。
なぜ「おせんころがし」か、短く説明すると、「お仙が死んだ場所だから」です。
・・・短かすぎでしょうか?
興味のない方もおられると思いますが説明します(こういう話私は大好きです)。
昔々、強欲な領主と、その娘「お仙」がおりましたそうな。
ある時分、大変豊作に恵まれた年があって、農民はたいそう喜んだそうじゃ。
ところが邪知暴虐の領主は豊作を良いことに年貢を倍にしやがりました。
農民はマジブチ切れ。
そこで娘お仙は父に「それはヤバイんじゃない?」と進言。
しかし領主はかわいい娘の言うことも聞きいれません。
そんな折、村のお祭りが開かれ、その騒ぎに乗じて農民たちは領主を拘束!
断崖絶壁から領主を転がり落としてしまったとさ。
死んだかどうか確認に下まで降りてみると、あら不思議。
殺したと思った領主は、父の身代わりに変装していた娘お仙じゃった。
自分の非道さを認識した領主は年貢を下げたんだと。
私が領主だったら娘を殺されたんだからむしろ年貢を上げるか、農民全員に復讐を・・・
ま、私の意見などどうでもいいのですが、
そんなわけで「おせんころがし」という名がついたそうです。
なんか私が言うと嘘っぽいですね。
さて、ホームから道路までは緩やかな坂で繋がっています。
途中にうち捨てられたような改札口があります。
そこには
「行川アイランドは8月末をもって営業を終了致しました」
という張り紙がありました。
いつの8月だ?
とにかく行川アイランドという動物園は(この時は遊園地かと思った)閉園していると言うことです。
そのおかげでトイレは使用できなくなっているし、自動販売機もないときた。
実は私、車窓からこの駅を見たときにこの駅でトイレに行き、暖かい缶コーヒーを飲もうと決めていたのです。
で、その両方の願いがむなしく散ったと。
でも40分も時間があり暇なので、行川アイランド入口まで行ってみます。
大きな駐車場が広がり、そこから坂を上がると入口となるトンネルがあります。
低い鉄柵があるだけで、入ろうと思えば誰でも入れる状況。
一瞬迷ったのですが(おいおい)、バスが来て入口手前で止まったので、諦めて戻りました。
それにしても寒いです。
待合室内で震えながら30分の間列車を待ち続けます。
なんだか駅訪問ってつらいな・・・
などと思い始める。
まだ一日目でしかも7駅目ですよ。
つらいとか言ってんじゃねえよ、と思う。
しかしそこは一般人。
列車の待ち時間というのは長く感じるものなのです。
ようやく来た列車に乗り込みます。
車内は暖かいです。
しかし、何だか寒気がするし、頭痛が・・・・・

つづく・・・・・
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