可部線→大糸線→中央本線めぐりの旅(その5)
2015/03/14
2006年7月28日発行 《第32号》
2003年8月17日(雨時々曇り)旅3日目 〔全駅訪問通算21日目〕
〔前回の旅〕
(可部線)
河戸→毛木→安芸亀山→今井田
可部線廃止予定区間下車完了!
香草駅
「香草駅」に下車すると、降っていた雨は上がりました。

小さな待合所のみの小さな駅です。
駅前に田圃が広がっています。
ここでは1時間15分という長い待ち時間。
駅にいるだけではさすがに退屈なので、周辺をぶらつくことにします。
と言っても、あまり遠くに行くと疲れてしまので、近くをウロウロ。
すると商店と自販機を発見。
缶コーヒーを買って駅に戻り、待合所でチビチビ飲みます。
で、目の前に川が流れていたので降りてみました。
川の水はとてもきれいです。
水に手を突っ込み、しずくを飛ばします。
小さな石ころを投げてみます。
すぐに飽きます。
また駅に戻って、ベンチに座りながら、
空を眺め、足をぶらぶらする。
あぁ、でも家にいたら、こんな退屈も味わえないんだよなぁ、などと感じ始めて退屈が愛おしくなります。
そんな気分になったのもつかの間、上り列車が来たので乗り込みました。
安野駅
次に下車したのは「安野駅」。
この駅はなんと”猫の駅長”がおられるそうです。
猫好きの私としてはトキメキを禁じ得ません。
列車を降りると、ローカル駅としては完璧なくらいの、のどかな駅風景が飛び込んできました。

しばらく呆然としていると、駅から一人の駅長・・・
否、
一匹の猫が出てきて、ホームの階段を上ってきました。
「・・・すごい、駅長みずからお出迎えだ・・・」
感動というよりも、あまりの演出に驚愕といった感じです。
がしかし、ホームに上がってきた駅長は、私には目もくれずに、ひょいとホームを降りて、線路の先の方へと歩いていってしまいました。
「・・・駅長じゃないのかな。」
とりあえず駅舎の中に入ります。

すると、ムアッとするような猫臭が!
く、くさい!
駅舎内は猫の住み家となっているので、臭いが付いてしまうようです。
しかし、駅舎内には猫はいませんでした。
お出かけ中なのでしょうか。
代わりに壁にはたくさんの猫の写真が飾られていました。
その隣に「お願い」という張り紙がありました。
「私たちは駅舎で毎日生活しております。ところが周辺の方から「しっこ、ぽんぽん」をするので困ります。(私たちがいけない)とうとう行く先を考えることになりました。(JR存続運動にもずい分協力しましたけど)私たちが好きな方、どうか一ピキ、二ヒキ、でも連れて帰ってください。 猫の駅長より」
なるほどそういう事情があったんですか。
だから猫がいないんですね。
ん?ということはさっきの猫は・・・
まあ、そんなわけで、
私は猫の駅に来られて大変満足です。
でもゆっくりしてもいられません。
私はこれから隣の駅まで歩かなければいけないのです。
後ろ髪を引かれつつ、駅を後にしたのでした。

小河内駅
荷物をガラガラ引っ張って先に進みます。
道は山や川により激しく曲がりくねっていて、(鉄道は橋とトンネルでまっすぐ進んでいる、それが悔しい)進んでいるのか戻っているのか分からない。
汗だくで4kmの道を歩き、「小河内駅」に到着。

シンプルながら味のあるコンクリート駅舎の無人駅。
階段を上がりホームに出ると、小さな上家があります。
上家を観察していると、隣の柱に小さな折り鶴が引っかけてありました。
そこにはこんな文字が書かれていました。
「ありがとう 可部線」
何とも言えない気分になります・・・・。
田之尻駅
13:33 小河内駅を出て、13:54 「田之尻駅」に下車。

この駅で、可部線廃止予定区間、全駅下車完了です。
ホームのそばに流れる川と霧のかかった山が相まって、幽玄な風景を作り出していました。
店などはなく、数軒の民家があるのみです。
のどかないい駅だなぁと思う。
こういう瞬間が最高です。
可部駅
14:23 最後の田之尻駅を後にしました。
15:14 「可部駅」に到着。ここで広島行きに乗り換えです。
駅に着いたときには激しい雨が降っていました。
ちょっと外に出て駅を撮影したら、せっかく乾き始めた服や靴がまたぐしょ濡れに。
やれやれ。

広島を出て大阪へ
15:24 可部駅を出発。
その後、広島駅で乗り換えて、普通列車で大阪へと向かいます。
可部線の横川〜可部間が残っていたのですが、とりあえず廃止予定区間を全部降りたので、ここで可部線は切り上げることにしました。
広島から列車に乗り込み席に座ると、ようやく気持ちが落ち着きました。
今回の可部線下車へと旅立つ前、私は「1日5往復なんていうローカル線を本当に全駅降りられるのか?」という不安な気持ちがありました。
時刻表や地図を調べ、計算上では降りられると分かっていてもそれでも不安感が拭えずにいました。
でもひとまず全駅まわれたことで、「なんだ、降りられるじゃないか」と安心し、それでようやく達成感がじわじわと湧いてきたのです。
私がJR全駅訪問を本気で目指そうと思い至ったのは、実はこの時が最初でした。
それまでは「降りられればいいか」という少々曖昧な気持ちだったのですが、それが、可部線を降りた後「よし、全部降りてやる!」という確固たる決意へと変わったのです。
私の人生が完全に変わった瞬間でした。
そういう意味では、記念すべき瞬間とも言えるのですが、今、冷静に考えると、大幅に人生が狂ったなという思いと(笑)、駅に降りる喜びを上回る苦しみとの格闘、等々の諸問題が勃発することになるんだよなぁ、と素直に喜べない自分がいたりします。
まあ、それはそれとして、私はこの後、鈍行列車を乗り継ぎに乗り継ぎを重ね、22:59 大阪駅へと到着。
そして「急行きたぐに」を宿代わりにし、北陸へと移動するのでした。
つづく
関連記事
-
-
可部線→大糸線→中央本線めぐりの旅(その4)
2006年7月21日発行 《第31号》 2003年8月17日(雨時 …
-
-
可部線→大糸線→中央本線めぐりの旅(その2)
2006年7月7日発行 《第29号》 2003年8月16日(晴れ) …
-
-
可部線→大糸線→中央本線めぐりの旅(その3)
2006年7月14日発行 《第30号》 2003年8月16日(晴れ …
- PREV
- 可部線→大糸線→中央本線めぐりの旅(その4)
- NEXT
- 可部線→大糸線→中央本線めぐりの旅(その6)
